大手携帯キャリア3社から、新しい料金プランが出揃いました。データ容量20GB以上の大容量を中心に、大幅な値下げが行われるようです。
この値下げ競争の初陣を切ったのは、NTTドコモのahamo(アハモ)。この発表は、業界に激震をもたらしたようで、
- 格安な料金を謳ってきた格安スマホ・格安SIMは、これで終わりか?
- 楽天モバイルのアドバンテージがなくなった…
といった声が多くあがっていました。
しかし、ここまでの大容量を必要とするのは、デジタルネイティブと呼ばれる一部のユーザーと20代を中心とした若い世代。当然、他の多くの方からは、
「もっと小容量でもっと安い料金プランが欲しい」
という声もあがっています。
では、小容量プランで格安料金を謳ってきた「格安SIM」は、今後どう対抗していくのか?
auサブブランドのUQモバイルは、生き残りをかけるかのように、即座に新しいプランを発表。KDDI・auというメインブランドの発表の陰に隠れてしまい、発表のインパクトは小さかったように思えたのですが、実は、格安SIMとしての魅力が秘められていました。
ここでは、UQモバイルと同じサブブランドのワイモバイルを含めて、ahamo、povo、SoftBank on LINEではカバーできない格安SIMの新しいサービスとおすすめのユーザー層を紹介していきます。
格安SIM(MVNO)のmineoの料金が、最大6割の値下げ!
2021年2月1日より、mineoの新料金プランがスタートしました。詳細は、こちら。
新料金プランが出揃った!
2021年1月13日、KDDIから新しい料金プランの発表があり、これで大手携帯キャリア3社の新プランが出揃いました。
楽天モバイルを含めて今回の料金プランをざっくり比較してみると、下表のようになります。()内は税込表示。
20GB | 大容量プラン | ||
---|---|---|---|
4G | 5G | ||
NTTドコモ | 2,980円 (3,278円) アハモ | 6,550円 (7,205円) ドコモ 60GB | 6,650円 (7,315円) ドコモ 無制限 |
KDDI(au) | 2,480円 | 6,580円 (7,238円) au 無制限 | |
ソフトバンク | 2,980円 (3,278円) LINEMO | 6,580円 (7,238円) ソフトバンク 無制限 | |
楽天モバイル | 2,980円(3,278円) 無制限 |
(引用:朝日新聞)
ご注意)
- ソフトバンクは、2021年2月18日、「SoftBank on LINE」 を「LINEMO」と新ブランド名を発表。併せて20GBの料金を、通話付きを外して2,480円(税込2,728円)に変更しています。
- NTTドコモは、2021年3月1日、ahamoの月額料金を2,980円から2,700円(税込2,970円)に変更しています。
この表をみて、どのようにお感じでしょうか?
20GBってどれくらい?
「20GB」や「大容量」という言葉が出ていますが、そもそも20GBってどれ位なのか?ちょっと調べてみました。
そもそも20GBってどれ位?
20GBの通信量ってどれくらいでしょうか?下表は、スマートフォンデータ通信量の目安です。
ご注意)あくまでも目安です。ご利用環境や画質等で通信量は変化します。
利用内容 | 通信計測内容 | 20GBあたり の利用回数 |
---|---|---|
ネット閲覧 | Yahoo! トップページ | 約108,000回 |
メール | 300文字程度の テキストメール | 約400万通 |
LINE | ビデオ通話 | 約60時間 |
Youtube (360p) | スマホで観て 普通の画質 | 約100時間程度 |
Amazon Prime Video | スタンダード 高画質(HD) | 33.2時間程度 |
Zoom | ビデオあり | 約33時間 |
(Wi-Fiレンタル屋さんのHPより引用、但しZoomを除く)
Youtubeの動画(360p)が約100時間観れる。これは、毎日3時間以上は観れるという計算になります。
Amazon Prime Videoだと、毎週末の土日に、2時間映画が2本ずつ観れることになります。
Youtubeや映画・動画を頻繁に観る方ならともかく、多くの方にこの20GBというデータ容量はピンと来ないのでは?というか、とても使い切れるような容量じゃない!自分には関係ない!と思われたのでは?
しかも、ご自宅には、光の固定回線やモバイルWiFiルーターを設置済の方も多いと思います。「自宅ではWiFiを利用するから、スマホのデータを消費することは殆どない!」という方も多いことでしょう。
7GBもあれば充分では?
実際、こちらの「スマホの月間データ容量は平均約7GB MM総研が携帯の利用実態を調査」という記事によれば、月間のデータ使用量は、約80%の方が7GB以下と回答しています。
そもそも、この値下げ競争の初陣を切ったのはNTTドコモ。20代の「デジタルネイティブ」世代をターゲットにした「ahamo」ということを考えると、データ容量20GBは妥当かもしれません。
しかし、もはやスマホは60代、70代のシニア層にまで広まっています。当然、40代、50代の方も含めて、
- 数GBでもっと安いプランはないの?
- 通話重視のユーザーには不向き
- 使い勝手の良いガラケーのユーザーを救って!
- シニア層に優しいプランはないの?
という声が多いのも事実!小容量の料金プランの値下げにも期待が高まります。
格安SIMの対応は?
今回の大手携帯キャリアからの新プラン発表で、大きな打撃を受けそうなのが「格安SIM」の各社。20GBで2,480円(税込:2,728円)という今までにない格安プランが、大手のメインブランドから提供されるので、もはや生き残る道はないのでは?とまで囁かれています。
そんな中、即座に動いたのが「UQモバイル」と「ワイモバイル」。
2021年1月中旬現在、上記の発表と同時に、両社からも、新しい料金プランの発表がありました。どちらも、メインブランドでは対応が難しい小容量というターゲット層を、これらのサブブランドでカバーしていく料金プランになっているようです。
UQモバイルのターゲットは?
まず、KDDI・auのサブブランドであるUQモバイルの、新しい料金プランと今後のターゲット層をみていきます。
UQモバイルの新料金プラン
UQモバイルは、KDDIの「povo」発表と同じタイミングで、「くりこしプラン」という新しい料金プランを発表しています。
申し込み受付開始は、2021年2月1日から。これにより、従来のスマホプランの受付は、1月31日で終了となります。
くりこし プラン S | くりこし プラン M | くりこし プラン L | |
---|---|---|---|
基本 データ容量 | 3GB | 15GB(注1) | 25GB(注1) |
余ったデータ容量は、翌月に繰り越しできます! | |||
月額料金 | 1,480円 (税込1,628円) | 2,480円 (税込2,728円) | 3,480円 (税込3,828円) |
容量超過時 及び 節約モード 通信速度 | 最大 300kbps | 最大 1Mbps | 最大 1Mbps |
節約モードなら、どれだけ使ってもデータ消費量ゼロ! | |||
通話 | 別途、22円/30秒の通話料金が発生しますが、
| ||
契約解除料 | なし |
注1) 2021年4月ご利用分まで、くりこしプランMの月間データ容量は10GB、くりこしプランLの月間データ容量は20GBとなります。
既にTwitterには、次のようなツイートが投稿されています。
ahamo にしようかと思ってたけど、uqモバイル様が頑張ってくれたので、これからもuq使お。月3000円のドコモ様か、月2000円のuqか悩んだけど…月1000円差でも塵も積もれば的な。uqで不便に感じたことほとんどないし。たまーに5分以上通話するときがあるというのもネックだった。ありがとうuq
— ゆきまるお (@ykmro) January 14, 2021
#UQモバイル のプランは、ギガをあまり使わない我が家には魅力的✨
・3GB 1480円
・10分まで通話無料 770円プラス病院、園、学校、習い事に電話すること多いので、無料通話はあると助かります。
これが今はベスト👀2300円くらいでおさまる📱
— しゃいにー@配当金20万超/2020年 (@yokogao2018) January 14, 2021
UQモバイルのおすすめターゲットは?
1. 小容量プランで充分という方
「くりこしプラン」の注目ポイントは、「プランS」のデータ容量3GBで月額料金が1,480円(税込1,628円)であること。
ahamoやpovo、LINEMOで話題になったデータ容量は20GB。「そんな大容量、使い切れない!」という小容量ユーザーの方にとって、この「くりこしプランS」はとても魅力的です。
しかも、auと同じ携帯網のサービスが使えるので、格安SIMのデメリットとされていた通信速度の低下や通信が不安定という心配や不安はないでしょう。
加えて、余ったデータ容量は翌月に繰り越しできるので、データ容量を無駄なく有効に利用できるというのも有り難いですね!
2. 通話中心の方
「くりこしプランS」には、通話に関するかけ放題プランは組み込まれていませんので、22円/30秒の通話料金が発生します。
通話に関するオプションに関して、UQモバイルのくりこしプランには、3つのプランが用意されています。
- 最大60分/月の定額:550円/月(税込)
- 国内通話10分かけ放題:770円/月(税込)
- 国内通話かけ放題:1,870円/月(税込)
24時間の国内通話かけ放題が必要な方は、3,498円(1,628円 + 1,870円)から可能です。NTTドコモのahamoに同様のかけ放題プランを組み込むと、4,378円(3,278円+オプション1,100円)なので、通話中心の方は、UQモバイルの「くりこしプランS」はとてもおすすめです。
しかも、通話にはau網がそのまま使えるので、通話品質やサービスエリアも問題なし。心配する必要はありません。
3. 60歳以上のシニア層
UQモバイルの「おてかるスマホ」は、スマホの使い方が苦手なシニア層の方にとってもおすすめ!使い方がとっても分かりやすい専用のスマホが用意されています。
「今まで2つ折りのガラケーを使用してきた。3Gのサービスもまもなく終了するみたいなので、この際、スマホへ乗り換えたい。でも、スマホを使いこなせる自信がない。心配だ!」
という方におすすめです。
この「おてがるスマホ」は、
- 使い方がわからなくなれば、「使い方ナビ」のボタンをタップ。分かりやすいアドバイスが表示されますが、それでも分かりにくければ、コンシェルジェがサポートしてくれる機能付き(別途350円/月が必要です)。
- 60歳以上であれば、770円/月の追加で24時間かけ放題が可能
大手携帯キャリアにはない、使い勝手の良いとっても優しいサービスが提供されています。LINEも使えるので、遠方にいる子供さんやお孫さんたちとLINEができます。ビデオ通話も可能ですよ。
詳細は、こちらをご覧ください。
ワイモバイルのおすすめターゲットは?
では次に、ソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルをみていきます。
ワイモバイルの新料金プラン
ワイモバイルは、2020年12月、新しい料金プラン「シンプルS/M/L」を発表しました。その後、2021年2月1日に一部内容を改定し、下表の新しいプランが2月18日よりスタートしました。
シンプル S | シンプル M | シンプル L | |
---|---|---|---|
月間の データ容量 | 3GB | 15GB | 25GB |
月額の利用 料金 | 1,980円 (税込2,178円) | 2,980円 (税込3,278円) | 3,780円 (税込4,158円) |
おうち割、 家族割適用後 (注1) | 900円 (税込990円) | 1,900円 (税込2,090円) | 2,700円 (税込2,970円) |
データ容量 超過時の 通信速度 | 最大 300kbps | 最大 1Mbps | 最大 1Mbps |
対応 通信方式 | 4G/5G | ||
通話 | 別途、22円/30秒の通話料金が発生しますが、
|
注1)おうち割光セット(A)または家族割引サービス(2回線目以降)適用時、1,188円割り引かれます。
ワイモバイルの料金プランの方が先に発表されたせいか、UQモバイルよりも料金が高くなっています。しかも、以前のプランでは、「10分かけ放題」が組み込まれていたのに、新料金プランにはそれがありません。その分を値下げしたという料金プランです。
正直、ワイモバイルの魅力が薄れてしまった感があります。
twitterにも次のようなツイートが…
UQモバイル並にワイモバイルも料金下げてこーへんかな…
— あちゃん (@narita0915) January 14, 2021
ライバル会社のワイモバイルも新料金見直しが来るはず(見直ししないとたぶん死ぬ)なので、もう少し様子見てから決断してもいいかもですね。
— 薄毛じろ (@charumeraoji) January 15, 2021
以前、UQモバイルが新しいサービスや料金プランを発表した際、ワイモバイルも追随していった例がありますので、近々、UQモバイルに近い料金プランにニューアルされることを期待したいところです。
とは言っても、ワイモバイルには、大手携帯キャリアや他の格安SIMと比べて優位なサービスがありますので、幾つかご紹介します(2021年1月現在。今後の動向次第は、内容が変更になる場合があります)。
ワイモバイルがおすすめのユーザーは?
60歳以上のシニア層
大手携帯キャリアが相次いで3Gサービスの終了を発表したこともあって、ケータイ(フューチャーフォン)からスマホへ乗り換える方が増えているようです。特に、60歳以上のシニア層に多いようです。
(参考:60歳以上のスマホ利用率は77%。ガラケーは17%)
ワイモバイルには、そのようなスマホに不慣れな方におすすめの「かんたんスマホ」が用意されています。
- キー操作が簡単な上、使い方がわからなくなった時にボタン一つで使い方のナビゲーションをしてくれたり、サポートセンターにいるコンシェルジュにつないでサポートしてもらえるというサービス付き
- 60歳以上の方であれば、24時間かけ放題オプションが770円/月で利用可能。
というとってもお得な機能とサービスがあるので、60歳以上の方には目が離せません。
詳細は、

でご紹介していますので、是非、ご覧ください。
今後もガラケーを使いたいという方
- 首と肩の間に挟めば、通話中でも両手が使える
- 軽い
- バッテリーの持ちが良い
今まで2つ折りのガラケーの使いやすさに慣れ親しんできた方には、なかなか手放せないガラケー。スマホは使いづらいかもしれません。
ただ、残念なことに、大手携帯キャリアから3Gサービスの終了がアナウンスされているので、お手持ちのガラケーで3Gのサービスをご利用の方は、契約更新日を機に乗り換えをおすすめします。
ワイモバイルでは、従来と同じ形態の2つ折りのガラケーが販売されています。
詳細は、

をご覧ください(但し、2021年1月現在。今後のプラン見直し次第では、料金プランが変更になるかもしれません)。
メリットは、
- ワイモバイルでも、2つ折りのガラケーが安く購入できる
- 2,127円/月(税込)から「国内通話が24時間誰とでもかけ放題」が可能
3Gサービスが終了になっても2つ折りのガラケーを使い続けたいという方には、ワイモバイルのこのサービスは魅力的ですね。
マイネオ(mineo)が2月1日から新料金プランをスタート!
関西電力の子会社で格安スマホ「マイネオ(mineo)」を展開するオプテージが、1月27日、新料金プラン「マイピタ」を発表。2月1日よりこのサービスがスタートしました。
この新料金プランのポイントは、
- 従来の料金プランと比べて最大で6割ほどの値下げ(デュアルタイプ/Sプラン/20GBで、5,533円 -> 2,178円)。
- データ容量は、1GB/5GB/10GB/20GBの4つ。
- auプラン、ドコモプラン、ソフトバンクプランの3つのプランの料金が1つにまとまり、より分かりやすい料金体系。
- 10分以内のかけ放題「mineoでんわ10分かけ放題」も提供。
- 全てのコンテンツが最大500kbpsの通信速度でデータ使いたい放題。
これにより、従来の料金プランの新規受付は、1月31日で終了となります。
新プランの月額料金。()は税込。
データ容量 | 1GB | 5GB | 10GB | 20GB |
---|---|---|---|---|
シングルタイプ(データ通信のみ) | ||||
auプラン ドコモプラン ソフトバンク プラン | 800円 (880円) | 1,150円 (1,265円) | 1,550円 (1,705円) | 1,750円 (1,925円) |
デュアルタイプ(音声通話+データ通信) | ||||
auプラン ドコモプラン ソフトバンク プラン | 1,180円 (1,298円) | 1,380円 (1,518円) | 1,780円 (1,958円) | 1,980円 (2,178円) |
mineoの詳細は、

をご覧下さい。
ahamo、povo、LINEMOと比較してみた
NTTドコモのahamo、auのpovo、SoftBankのLINEMOと比較してみました。
ahamo | povo LINEMO | マイピタ mineo | |
---|---|---|---|
1GB | 2,700円 (2,970円) | 2,480円 (2,728円) | 1,180円 (1,298円) |
5GB | 2,700円 (2,970円) | 2,480円 (2,728円) | 1,380円 (1,518円) |
10GB | 2,700円 (2,970円) | 2,480円 (2,728円) | 1,780円 (1,958円) |
20GB | 2,700円 (2,970円) | 2,480円 (2,728円) | 1,980円 (2,178円) |
通話 5分かけ放題 | 無料 | なし (オプションで 550円/月) | なし (オプションで 10分かけ放題が 935円/月) |
マイピタの新料金プランは、毎月のデータ通信容量が20GB以下という小容量・中容量に焦点を当てた料金プランになっています。しかも、20GBで月額2,000円(税抜)を切るという画期的な料金設定!
既に、上でもご紹介していますが、「データ容量は、月間7GBもあれば充分」というユーザーが8割近くいることを考えると、「マイピタ」のこの新料金プランは、とても魅力的です。
通話料金は別(オプション)になっていますが、家族間やお友達との通話は「LINE電話」等で済ませてしまえば、別に20円/30秒の通話料が発生しても、それ程の金額にはならないでしょう。
また、格安SIM(MVNO)のデメリットとして従来から指摘されている通信速度や通信の安定性についてですが、小容量で充分という方にとっては、それほど大きな問題にはならないのでは?と思います。
最終的には、安い料金を優先するか、それとも通信速度か?を天秤にかけることになりますが、このmineoの新料金プランは、ahamoやpovoに十分対抗できるプランと言えるでしょう。
今後、この料金プランが基準になって、他のMVNOからも新しい料金プランが発表されると思います。
まとめ
大手携帯3社からの新しい料金プランが出揃いました。値下げのデータ容量の中心は20GB以上という大容量。ターゲット層は、デジタルネイティブと言われる方や20代の若い世代でしょう。
一方、データ容量が小容量で「少ない容量でいいからもっと安い料金プランはないの?」というユーザー層におすすめしたのが、UQモバイルやワイモバイルというサブブランドの料金プランです。
ここでは、UQモバイルとワイモバイルの新料金プランとターゲット層についてご紹介してきましたが、本来のMVNOと呼ばれる格安スマホ・格安SIMの会社からは、一部を除いてまだ具体的な対抗策が発表されていません。
厳しい状況が予想される格安SIMですが、是非、インパクトのあるプランの発表に期待したいところです。