「通話時間の長い人には向かない」
格安SIMは、そのサービスが登場した時からこう言われ続けていました。
格安SIMの場合、通常は20円/30秒の料金がかかります。1ヶ月の通話時間を仮に90分(1日平均3分)だとすると、3,600円!
一方の携帯キャリアの場合、「国内通話24時間かけ放題」というオプションがあります。
ドコモとauの場合で月額1,700円、SoftBankの場合で月額1,500円。この追加料金で国内通話がかけ放題となるのですから、頻繁に通話をする方にとっては、とてもありがたいオプションです。
「格安SIMは通話に不向き!」と言われてきた理由です。
ところが、格安SIMでも、携帯キャリアと同様の「国内通話が誰にでもかけ放題」のサービスが登場してきています。ワイモバイルとUQモバイルです。
ここでは、この格安SIMを利用した「かけ放題」について詳しくご紹介していきます。
3種類ある格安スマホ会社の「かけ放題」サービス
IP電話によるかけ放題、スマホからの国内通話が半額になるプレフィックス方式、そして携帯電話並の音声品質のかけ放題サービスです。
IP電話
格安SIMの会社(MVNO)では、サービス開始当初、この不利となる音声通話サービスを挽回しようと、IP電話というサービスをアピールしてきました。
音声をパケット化してデータと言うかたちで通話を可能とするもので、無料もしくは格安の料金で提供していました。
ただ、このIP電話には大きな欠点があり、音質が安定しないという問題があります。
ネットが混んでいるとパケット転送に遅延が発生したり、途中でパケットが消滅して、聞き取りにくくなるという問題が発生します。
それ程重要でない会話であったり、親近者との会話であれば「もう一度話して!」と言えるでしょうが、目上の方や仕事上でのお客さんにあたる方との会話でこのような事態が発生すると、相手に失礼に当たるばかりか商談の機会を失いかねません。
格安SIMを使用した音声通話も、少なくとも携帯電話並の音声品質が欲しいものです。
楽天モバイルもかけ放題をスタート!
2020年4月8日、楽天モバイルが自身の回線を利用した携帯サービス「アンリミット「UN-LIMIT」)を開始しました。
月額料金2,980円(税抜)でデータ容量無制限という、他の3大携帯キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)と比べても破格の携帯サービスになっています。
しかも、Rakuten-Linkというアプリを経由すれば、国内通話がかけ放題になります。
通常の電話とは異なる方式を採用しているようですが、このRakuten-Link経由で電話すれば、固定電話でも携帯電話でも無料で通話ができます。音質も悪くありません。
詳細は、
https://mobile-tushin.net/rakuten-unlimit/
をご覧ください。
プレフィックス方式とは
VoIPの次に出てきたのが、「プレフィックス方式」です。電話番号の先頭に特定の番号を付加することによって、通常の電話とほぼ変わらない音質で通話できるという通話方式です。
OCNモバイルONEのOCNでんわ、IIJmioのみおふぉん、BiglobeモバイルのBiglobeでんわ等が該当します。
音声通話を中継するための専用の設備が用意されており、プレフィックスによりこの専用設備を中継出来るようになります。
電話料金も通常の電話の半額(20円/30秒が10円/30秒)以下にすることが可能になるので、多くのMVNOで導入されています。
プレフィックスのメリット
- 電話料金が安くなる(通常の20円/30秒が10円/30秒以下に)。
- 音声通話専用の回線を使うため、通話品質が落ちることは殆どない。
- このプレフィックス方式を利用するための月額料金や初期費用は発生しない。
- 自分の電話番号がそのまま使える。相手に表示される番号も自分の番号のまま(一部、非表示になる場合もあるようです)。
プレフィックスのデメリット
- 電話番号の先頭に特定の番号を付加する必要があり、付け忘れると通常の20円/30秒が課金されてしまう。
- 上記の問題を解消するために、各MVNOでは、専用のアプリを用意して対応しているものが殆ど。つまり設定が必要になる、通話するにはこの専用アプリを経由して利用することになり、手間がかかる。
- 三桁番号(110や119など)、ナビダイヤル、フリーダイヤルには使えない(通常の番号で発信する必要がある)。
携帯キャリア並のかけ放題
最近では、格安SIM(MVNO)数社から大手キャリアの通話品質同等の「かけ放題」のサービスが登場してきました。ワイモバイルとUQモバイルです。
携帯キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)が提供している「カケホーダイ」や「カケホ」と全く同等の通話品質で、国内通話であれば、いつでも誰とでもかけ放題になる通話サービスです。料金も携帯キャリア同等もしくはそれより安くなっています。
詳細は、こちらをご覧下さい。
こんな方におすすめしたい格安スマホのかけ放題サービス
「スマホは通話としての使い方が主流」と言う方にも、この格安SIMのかけ放題サービスをご紹介できるようになりました。
また、「データ通信は格安SIMで、通話はガラケーという2台持ちの方」にも、充分検討の対象となるかけ放題サービスです。
では実際、どのようなかけ放題サービスがどの格安SIM会社(MVNO)から提供されているのか、見てみましょう。
充実してきた格安SIM(MVNO)各社のかけ放題サービス
時間制限なし・回数も無制限
まず、現在の大手キャリアの「カケホーダイ」に対抗できる、音声品質の良いかけ放題サービスについてです。
現在(2020年8月)のところ、この完全な国内通話かけ放題サービスを提供している格安SIM(MVNO)は下記2社です。
30分以内かけ放題
次にご紹介するのは、1回の通話時間が30分以内のかけ放題サービスです。
IIJmioの「みおふぉん」には、1回の通話時間が長い方向けの「かけ放題」サービスがあり、ここで取り上げたのが、「家族との通話が1回30分までなら何度かけてもかけ放題」というサービスです。
但し、通話相手が「同一契約者名義の家族」という制限があります。家族以外の「誰とでも」の通話は、「10分以内かけ放題」となります(下記参照)。
MVNO | 格安SIM 月額料金 | 30分かけ放題 追加料金 | 利用回線 |
---|---|---|---|
IIJmio | 1,600円 (3GB)~ | 830円 | ドコモ/au |
10分以内かけ放題
そして、ここ最近、MVNO各社から提供されるようになったのが、この10分以内かけ放題のサービスです。
下表のように、今では多くの格安SIMの会社(MVNO)から提供されています。
(注:キャンペーン期間中等の価格は考慮していません)
MVNO | 格安SIM 月額料金 | 10分かけ放題 追加料金 | 月額料金 |
---|---|---|---|
ドコモ系 | |||
OCNモバイル ONE | 1,180円 (1GB)~ | 850円 | 2,030円 から |
mineo | 1,300円 (0.5GB)~ | 850円 | 2,150円 から |
BIGLOBE モバイル | 1,600円 (3GB)~ | 830円 | 2,430円 から |
IIJmio (誰とでも) | 1,600円 (3GB)~ | 830円 | 2,430円 から |
IIJmio (家族間) | 1,600円 (3GB)~ | 600円 | 2,200円 から |
LINE モバイル | 1,100円(※2) (0.5GB)~ | 880円 | 2,990円 から |
イオン モバイル | 1,130円 (0.5GB)~ | 850円 | 1,980円 から |
au系 | |||
UQモバイル | 1,980円 (3GB)~ | 700円 | 2,680円 から |
BIGLOBE モバイル | 1,600円 (3GB)から | 830円 | 2,430円 から |
mineo | 1,310円 (0.5GB)~ | 850円 | 2,160円 から |
IIJmio (誰とでも) | 1,600円 (3GB)~ | 830円 | 2,430円 から |
IIJmio (家族間) | 1,600円 (3GB)~ | 600円 | 2,200円 から |
LINE モバイル | 1,100円(※2) (0.5GB)~ | 880円 | 2,990円 から |
イオン モバイル | 1,130円 (0.5GB)~ | 850円 | 1,980円 から |
ソフトバンク系 | |||
ワイモバイル | 2,680円 (3GB)~ | 無料 | 2,680円 から |
mineo | 1,750円 (0.5GB) | 850円 | 2,600円 から |
LINE モバイル | 1,100円(※2) (0.5GB)~ | 880円 | 2,990円 から |
ワイモバイルのかけ放題とは?
ワイモバイルでは、2つのかけ放題がサポートされています。
- 24時間国内通話が完全かけ放題
- 1回の通話が10分以内のかけ放題
です。
最初の「24時間国内通話かけ放題」は、月額1,000円の追加料金で、全ての国内通話が完全にかけ放題となるサービスです。
格安SIMの料金を加えると月額3,680円~にはなりますが、長電話をする方には安心です。
もう一つの「1回の通話が10分以内のかけ放題」は、あらかじめ「スマホベーシックプラン」に組み込まれています。これで十分という方は、追加料金の1,000円/月を支払うことなく、10分以内のかけ放題が可能です。
ガラケーでかけ放題も!
ワイモバイルでもう一つ見逃せないのが、ガラケーも使えること。
ワイモバイルのサイトではガラケーも販売しているので、これらのガラケーを使えば、軽くてバッテリーの持ちも良い使い勝手の良いガラケーで「かけ放題」が可能になります。
詳細は、

をご覧ください。
シニア層もかけ放題!
60歳以上のシニア層の方におすすめしたいのが、「かんたんスマホ」で通話かけ放題というサービス。
機種限定にはなりますが、操作が簡単!しかも、60歳以上であれば、通話はかけ放題!
詳細は、

をご覧ください。
UQモバイルのかけ放題とは?
UQモバイルには、3つのかけ放題サービスがあります。
- 国内通話し放題:1,700円/月
- 国内通話し放題:1,700円/月
- 10分以内の国内通話し放題:700円/月
- 最大60分/月の通話パック:500円/月
最初の2つは、月額料金は異なりますが、サービス内容は上記のワイモバイルと同じです。
3つ目の「最大60分/月の通話パック」は、かけ放題ではありませんが、月間の通話時間の累計が60分を超えない限り500円でOK!というもの。
通常の携帯通話料金は40円/分で、60分だと2,400円。2,400円が500円で済むわけですからこちらも大変お得な通話サービスです。
シニア層のかけ放題がとってもお得!
UQモバイルにも、シニア層に大変なお得なサービスがあります。
操作が簡単なスマホを使って「いつでも誰とでも通話し放題」が、オトクな料金でご利用いただけます!
詳細は、

をご覧ください。
OCNモバイルONEのかけ放題
OCNモバイルONEのかけ放題に「OCNでんわ」があります。
この「OCNでんわ」は、プレフィックス方式の通話サービスで、音声対応SIMをご契約の方ならどなたでもすぐに利用できます。
発信は、「OCNでんわ」アプリを利用する、あるいは相手の電話番号の先頭に「0035-44」を付けます。これにより、通常20円/30秒の電話料金が半額の「10円/30秒」で通話できます。
頻繁に通話される方向け、に以下のような「かけ放題オプション」が用意されているので、ご自身の通話スタイルに合わせてお選びいただけます。
■ 10分かけ放題:月額850円(税抜)
1通話あたり10分以内の国内通話が回数無制限で使えます。
■ トップかけ放題:月額850円(税抜)
その月の国内通話料上位3番号の通話料が無料になります。
■ かけ放題ダブル:月額1,300円(税抜)
1通話あたり10分以内の国内通話が回数無制限で使えます。
上記を適用した残りの国内通話料上位3番号の通話料が0円になります。
ご注意)
緊急通報(110番、118番、119番)および3桁番号サービス(104/115等)への通話、0120、0570、0180等で始まる番号への通話などには発信できません。
IIJmioのかけ放題とは?
IIJmioにも、OCNモバイルONEと同様のプレフィックス方式を使用した「みおふぉん」と呼ぶかけ放題サービスがあります。
みおふぉんの場合、相手の電話番号の先頭に「0037-691」を付けることで、通話料が半額になります。
さらに、専用のアプリ「みおふぉんダイル」経由で発信すると、自動的に上記のプレフィックス番号が付加されます。
IIJmioでは、この「みおふぉんダイアル」を利用して、以下のような「1回の通話が長い方向け」と「1回の通話が短い方向け」の2つの通話定額サービスが提供されています。
「1回の通話が長い方向け」のサービスは、月額830円で、
◆同一契約者名義の家族との通話であれば、最大30分まで無料。
◆家族以外の「誰とでも」の場合は、最大10分まで無料。
◆超過時は、10円/30秒と通常の半額。
というもの。
一方の「1回の通話が短い方向け」のサービスは、月額600円で、
◆家族との通話であれば、最大10分まで無料。
◆家族以外の「誰とでも」の場合は、最大3分まで無料。
◆超過時は、10円/30秒と通常の半額。
家族との通話は、時間が長くなりがちですよね。家族間ではLINEなどを使っていないこともあるでしょう。
LINEやSkypeで通話できる人とはアプリで通話、普通の電話番号で通話する家族とはIIJmioのかけ放題を使うと便利ですね。
ご注意)
緊急通報(110番、118番、119番)および3桁番号サービス(104/115等)への通話、0120、0570、0180等で始まる番号への通話などには発信できません。
BIGLOBE モバイルのかけ放題とは?
BIGLOBEモバイルにも、「BIGLOBEでんわ」と呼ぶプレフィックス方式を使用したかけ放題サービスがあります。
この「BIGLOBEでんわ」アプリを利用すれば、通常の通話料20円/30秒の半額以下、9円/30秒(税別)で通話ができます。
さらに、かけ放題と通話パックも提供。具体的には、以下の4種類の通話サービスを提供中です。
- 10分かけ放題(10分以内の通話が何度でもかけ放題):月額830円
- 3分かけ放題(3分以内の通話が何度でもかけ放題):月額600円
- 通話パック60(月間最大60分まで定額で通話できる):月額600円
- 通話パック90(月間最大90分まで定額で通話できる):月額830円
万が一超過した場合の通話料は、9円/30秒と通常の半額以下。
かけ放題と通話パックの両方のサービスが提供されて、かつ、超過分の料金が9円/30秒!
格安スマホを検討しているけど通話量が多いので、格安SIMへの乗り換えに戸惑っているという方には、うれしいサービスです。
ご注意)
①「BIGLOBEでんわ」の利用には、音声対応SIMの契約が必要です。
② 緊急通報(110番、118番、119番)および3桁番号サービス(104/115等)への通話、0120、0570、0180等で始まる番号への通話などには発信できません。
その他のMVNOの通話オプションは?
上記以外のMVNOの「通話オプション」について、まとめてみました。
ご注意)
下表の「10円/30秒」及び「10分かけ放題」については、専用のアプリを使用します。また、以下の制限があります。
① 音声機能付きのSIMを契約する必要があります。
② 緊急通報(110番、118番、119番)および3桁番号サービス(104/115等)への通話、0120、0570、0180等で始まる番号への通話などには発信できません。
MVNO | 10円 /30秒 | 10分 かけ放題 | 30分 定額 | 60分 定額 |
---|---|---|---|---|
mineo | ○ 無料 | ○ 850円 | ○ 840円 | ○ 1,680円 |
LINE モバイル | ○ 無料 | ○ 880円 | ☓ | ☓ |
イオン モバイル | ○ 無料 | ○ 850円 | ☓ | ☓ |
まとめ
多くの格安SIMの会社で、かけ放題が提供されています。
3大携帯キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)のかけ放題に全く引けを取らないのが、ワイモバイルとUQモバイルの「国内通話かけ放題」です。
2020年4月からは、楽天モバイルも自身の回線を利用した「アンリミット(UN-LIMIT)」でかけ放題をスタートさせました。
他のMVNOからも、「1回の通話が30分以内なら」「1回の通話が10分以内なら」というサービスが多数出てきています。
格安SIMサービスが始まった頃は、「格安SIMの通話は携帯キャリアに比べてメリットが全然ない」と言われてきましたが、今では遜色なく利用できるようになっていますよ。